たった一人になった・・・でも、ひとりきりじゃなかった。 『ひと』小野寺史宜
わっ!!すごく良かった(*´▽`*) ← 素直な感想です。
帯にも書いてありますが、本当にこの本に出会えてよかったー。
たった一人になった。でも、ひとりきりじゃなかった。
両親を亡くし、大学をやめた二十歳の秋。
見えなくなった未来に光が射したのは、
コロッケを一個、譲った時だった――。
表紙の男の子、柏木聖輔。
高校生の時に、父親を事故で亡くし、その後、大学進学で地元の鳥取を離れ東京へ。
そんな大学2年の時、母親が突然死してしまう。
20才の秋。
たったひとりになってしまった・・・
大学を続ける余裕も自信もなく、中退。
何か仕事を見つけなければと思いながらも、一歩が踏み出せずにいた聖輔。
財布の中身は55円。
最後にカップ麺を食べてから、すでに20時間がたとうとしていた・・・。
商店街の総菜屋に残っていた、1個50円のコロッケを買おうとしていたところへ、勢いよくやってきたお婆さんに先を越され、買うことが出来ず。
店主に勧められた120円のメンチカツは買うことが出来ない。
たった20才。
たった3年間に、父親も母親も亡くしてしまった、圧倒的な孤独感。
でも、親切な人はいるのだ。
ひとりきりじゃないんだ・・・と。
買う事の出来なかった「コロッケ」がきっかけとなり、その総菜屋でアルバイトを始めた聖輔。そして調理師免許を取るという目標も出来た。
店主や従業員、商店街の人々との繋がり。
偶然出会った、高校時代の同級生。
大学時代の友人だち。
父親の辿った先で出会った、オーナーや同僚との出会い。
聖輔は人に頼るということを覚えろ。
おれたちには頼れ。
健気に、誠実に、ひたむきに生きている聖輔。
もう、母親のような気持ちで応援したなります。
最後は・・・
涙・涙です。