poorba-chan’s blog

50代半ば。貯蓄なし、退職金なし、借金あり。無事年金生活を迎えることができるのか?

 感動の長編ミステリー 『ノースライト』 横山秀夫

横山秀夫さんの作品を読むのは久しぶりになります。

 

一番最初に読んだのは『半落ち』でした。

ここでがっつりと心をつかまれ、以来、大ファンです。

 

その後、『クライマーズ・ハイ』、『64(ロクヨン)』など、期待を裏切らない、読み応えのある作品ばかり。

 

警察ものが多い作品のなかで、この『ノースライト』は建築家の小説でした。警察も検事も出てこないし、殺人事件も起きない。

 

バブル崩壊を機に、壊れた人間関係、登場人物それぞれの人生をからめて、たくさんの謎が繰り広げられていきます。

 

主人公「青瀬稔(あおせみのる)」は一級建築士。

「すべてお任せします。あなた自身が住みたい家を建てて下さい」という依頼を受け、

信濃追分の地に、自分のすべてを注ぎ込んだY邸を建築した。

 

出来上がったY邸は、建築雑誌にも取り上げられるほどの高い評価を得、施主も大満足での引き渡しとなったのだが・・・

 

その後、引き渡しから現在に至るまで、誰も住んでいる形跡がない。

引っ越してきた痕跡すらないのだ。

 

元の住家はすでに引き払われており、電話も通じない。

一家は忽然と姿を消してしまった・・・

 

何もない新築の家に、たったひとつ、2階の浅間山を望む部屋に、ぽつんと置かれた古ぼけた椅子。この椅子は、一家消失と何か関係があるのか?

 

謎の一家失踪。

そしてぽつんと残された一脚の椅子。

 

さらに、事務所の命運をかけたコンペも、この小説の大きな柱となっていて、まさに息のつまるような緊迫感。

 

もう一度、読み返したくなる作品でした。