植物に恋するリケジョ「愛なき世界」 三浦しをん著
きれいな表紙の本です。
三浦しをんさんの『愛なき世界』
物語の舞台は、都内T大学理学部。
植物学研究者をめざす大学院生、本村さんに恋をする、T大学赤門前の洋食屋の見習いコックの藤丸くん。
本村さんは、大学院で「シロイヌナズナ」を研究しているリケジョです。
ひたむきに研究に向き合い、恋愛に時間を割こうとは思わない女の子。
藤丸くんは、調理師専門学校を卒業して、赤門前の洋食屋で修行中のコックさん。
この、洋食屋さんのナポリタンやオムライスがとっても美味しそうなのが文中から漂ってきて・・・(^^♪
藤丸くんは、出前のついでに、本村さんの研究している「シロイヌナズナ」の青く染色した細胞を顕微鏡で覗かせてもらい、まるで銀河、満天の星だ・・・と感動するのです。
どんな風に見えるのでしょうね。
私も見てみたい!!
この本を読んでいる間は、私はすっかりT大学の大学院生の気分♪
日々、研究に没頭する毎日。
私にはなかった日々です。
今まで縁のなかった、植物学へと誘ってくれる小説です。
本は人生を豊かにしますね~(*´▽`*)
たまに食べる、美味しそうなナポリタンやオムライスにも心惹かれます。
藤丸くんの、料理に対する姿勢もとっても素敵です。
この本の末巻にには、実際に取材などでお世話になった、東京大学大学院理学系研究科の方々に宛てた謝辞が書かれています。
これだけ専門的なことを、小説の題材として書いていくのに、どれだけの取材を重ねていったのでしょう。
散歩の途中で見かける、たくさんの草花。
名前も知らないものばかりですが・・・
そんな草花を日々、研究している人がいるんだな~と。
ただひたすらに「好きなこと」にのめり込めることの羨ましさ。
そんなものに出会えるって素敵なことです。
まぶしくて、羨ましい。
感情を持たない、つまり愛のない世界の植物。
その植物に、たっぷりの愛情をもって日々研究に励むリケジョ。
そしてそんな彼女に恋する、料理の道にまい進する男の子。
爽やかな5月に読むには、ぴったりの小説でした(^^♪
最近は、シロイヌナズナを探しながら歩いている私です(*´▽`*)