50代におすすめの本 『百花』 川村元気
『百花』 川村元気
新年最初に読んだ本になります。
ちょっと重めの内容でした・・・(^^;)
母子家庭で育った主人公の泉。
ずっとふたりで生きてきた、そのたったひとりの母は、かつて自分を捨てていなくなってしまった事がある。
認知症と診断され、徐々に記憶をなくしていく母。そして蘇らせる記憶も・・・。
施設に入所が決まり、母を送って行った帰りに、泉が母の家で見つけたメモには、
葛西百合子。
1月1日生まれ。
息子の名前は泉。甘い玉子焼きとハヤシライスが好き。レコード会社で働いている。
ヘルパーの二階堂さんは10時に来る。
食パンを買わない。
美久ちゃんのレッスンはもうない。
泉の奥さんは香織さん。
お花は切らさない。
トイレは寝室の横。
晩御飯はもう食べた。
泉に迷惑はかけない。
ちゃんとひとりで生きる。
ベビー服をプレゼントする。
単三電池とハミガキ粉を買う。
どうしてこうなってしまったのだろう。
泉、ごめんなさい。
母が懸命に記憶を繋ぎ止めようとしていたこの描写に、涙が止まりませんでした。
50代の私たち世代は、まさに今、そしてこれから、親の最後を見届ける時期に来ています。
そして、近い将来には自分たちも・・・
だんだんと記憶をなくしていく親を見る辛さ、施設に送ったあと、ひとりで母の思い出の品を整理する泉。
自分だったら・・・
重ね合わせて読んでしまいました。
Amazon内容紹介
「あなたは誰?」
息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。
ふたりには忘れることのできない“事件”があったーー。
現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。
『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の著者、待望の最新刊!
大晦日、実家に帰ると母がいなかった。
息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。
それは母が息子を忘れていく日々の始まりだった。
認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。
ふたりで生きてきた親子には、どうしても忘れることができない出来事があった。
母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。
あのとき「一度、母を失った」ことを。
泉は封印されていた過去に、手をのばすーー。
現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。
すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。
おすすめの本です。